「あなたは……まだ私が王妃様……リリアさんの生まれ変わりだって信じているんですか?」
「当たり前だ」
「どうしてですか?」
自分自身ですら信じていないのに、赤の他人である一色社長が一切の迷いなく言い切れることが不思議である。
「……愚問だな」
一色社長は呆れたように漏らすと、階段脇に置いてあったビニール袋を私に寄越した。
「やる。泣かした詫びだ。受け取れ」
泣かした詫びの品をビニール袋で寄越すって……どうよ?
常識を疑いながらもビニール袋を開けると、そこには……。
「カモミールの苗……?」
「土いじり……ガーデニングか?切り花よりこっちの方が好きだろ?」
黒いポットに入った苗は女性に渡すには好みの分かれる珍しい代物である。
街にある生花店では取り扱いがない場合もあるし、決して当てずっぽうで買ってこられるものではない。
私の趣味嗜好を知らなければ、カモミールの苗を買ったとしても捨てられるのがオチである。



