クラウディアへようこそ


「あの……面接は?」

そもそもクラウディアにやって来たのは面接を受けるためである。

間違っても一色社長に唇を奪われそうになるためではない。

「面接など必要ありませんよ。あなたがクラウディアの元国民である以上、入社条件は満たしております」

賀来さんの笑顔の裏に隠された意図に気がつくと、これまでどんなに素晴らしい職歴や資格を持っていようと誰も入社出来なかった理由が分かった。

株式会社クラウディアには、輝かしいキャリア以上に必要なものがあったのだ。

「それに、私がリリア様を値踏みするような真似などできませんよ。一色社長に叱られてしまいますからね」

賀来さんが社長のことを気安く口に出すのは、前世の記憶があるからなのだろうか。

社長と副社長。国王と宰相。

時代は変わっても続いていく関係性こそクラウディア王国が存在したなによりの証のように感じる。

「改めまして、株式会社クラウディアへようこそ。榊優里さん」

私はどうやら……とんでもない会社に入社しようとしてしまったらしい。