「間もなく担当者が参りますのでこちらでお待ちください」
応接室まで案内してくれた女性はそう言ってお辞儀をすると、直ぐにその場から立ち去っていった。
(ふう……緊張するなあ……)
そわそわと心が落ち着かず、その場で何度も深呼吸をした。
5度目の深呼吸を終えた時、コトンと物音がして初めて応接室の出入り口の扉の前に人が立っていることに気がつく。
「すみません!!気がつかなくて!!」
一体いつの間に入室したのだろう。それとも、緊張のあまりノックの音が耳に入らなかったのか。
「担当者の方でしょうか?」
尋ねても男性から返答はなかった。
スーツ姿の男性はとにかく押し黙ったまま、私を上から下まで舐め回すように眺めていた。
不審に思い首を傾げ始めたころ、おもむろに声を発し出した。
「……榊優里だな?」
「え?はい、そうです」
やっと面接が受けられそうだとホッとしたのも束の間。
次の瞬間、男性は応接テーブルを乱暴に邪魔だと言わんばかりに大きく蹴り飛ばした。



