「さ~て、そろそろ落ち着いてきたかな?」
『はいっ…あの…感情的になってすみません…。』
「ううん、全然♪泣く事も大事だし♪……皆、何かしら抱えてんだよね。夏音ちゃんも楓も…幾斗も…。」
この時、遠い目をして小さくため息を一つついた藤枝さんに私は首を傾げた。
『冴木君も…ですか?』
「そう。…俺の口からは詳しい事は言わないけどさ。…幾斗にはトラウマがあるんだよ、女絡みの色んな面でね。」
『それって…元カノの事ですか?』
これは私が唯一知ってる冴木君の過去。
……でもそんなちっぽけな事じゃないみたい。
だって藤枝さんの瞳が一瞬泣きそうな位切なく揺れたから―。


