楓さんにポンポンと肩を叩かれ、藤枝さんには目の前で手のひらを振られ…ようやくハッとして私は口を開いた。
『楓さんって…パティシエなんですか?!』
チャラ男から一変、ほんの一瞬だけど不意に瞳が寂しそうに揺れた。
「元・ね。実家がケーキ屋でさ。ちゃんと免許も持ってるし、店でも経験積んだけど…親父と喧嘩してね。お前は要らない、出ていけ~ってなって。それからは家出青年♪」
『……えっ…。』
「元々はパティシエに興味無くて、家の為に仕方なく免許を取ったから思い入れも無いし。
それに俺が後取るより?弟に取らせた方が恥は無いからさ…俺は自由に生きたいと思ったから。」
『…………。』
この人もコンプレックスを持ってる。


