そして驚く程安定した彼の運転に感心している私が居た。
夜という事もあり10分もかからずに、早々とアパートの前に到着してしまい、ちょっと寂しい。

「―着いた♪」

『ありがとう!……それと今日は心配と迷惑かけてごめんなさい…!』

「ううん。…まさか遭遇してたなんて想像もつかなかったから俺も驚いたし、悔しいけど…マスターが助けてくれて良かったよ。」

『わ…私も驚いた…。また会っちゃったって…怖くて…あんな事になるなんて思わなかったから…。』

「………。」

微かに残る体の痛みで不意に思い出しそうになる。すると次第に目の前が揺れ始めてバッグを掴む手も震えだした。