マスターは俺の過去を知ったうえで、唯一受け入れてくれた人だ。

色んな面で感謝してる場面が多くて、頭が上がらない。感謝してもしきれない位だから。
兄貴みたいに、時には父親みたいに対応が変わる。

でも、何だかんだ言って間違った事は言わないし、ずるい所が全く無くて、筋が通ってるから尊敬もしてる。

…女好きなのがたまに傷だけどね。

『…ん……』

不意に吐息が漏れるのが聞こえ、視線を向けると僅かに彼女の長い睫毛が揺れて見えた。

そして、うっすら目が開いて俺と目が合った。