声が枯れるまで叫べ、そして泣け



母はこんな私に怒鳴ることも泣くこともしなくなった。一度連れていかれた心療内科で鬱病と診断された私を母はどう思ったのだろう。そして母は、私をこうさせた香川涼を恨むだろうか。それとも男との別れで投げやりに無駄な時ばかりを過ごす私に呆れたのだろうか。どちらにせよ、わたしは弱い自分を殺したい。この弱い心に鋭利な刃物を突き立てて壊したい。それはイコール死ぬことではなくて、心を殺してそれなりに生きたい。香川涼が望んだ誰かと生きる生活を歩んでもいいし、なにか好きな職に就いてもいい。でも現実として体も動かない私は本当に心を病んだのか、そう思い始めてた。あれから大分痩せた。骨を隠すためにうっすらと皮がのっているだけ。1日2錠の睡眠導入剤を飲まないと眠れない。頭の中は空っぽなくせに心の中だけが騒がしい。こんな弱い自分を、本当に殺してしまいたい。
この喉に刃を突き立てようか、首を吊ってしまおうか、海に飛び込もうか。睡眠薬を大量に服用しようか。死ぬ方法も死ねる方法も選べるし有り触れているのに、それを実行しないのは、まだどこかで期待を抱いていることをわかってはいる。まだ微かに想っている香川涼ともう一度日向を手をつないで歩ける日が来ることを想像して、そうして命を繋ぐ。死にたい願望も生きていたい思いも香川涼に全てを委ねてる私を、やはり彼は嘲笑ったりしない。優しく微笑んで手招きしながら呼ぶのだ、私の名を。