今日も来ない、きみを待ってる。

木曜日はいつも、彼は朝から出勤のため午後5時に勤務が終わる。
"合図"があると、私は5時にカフェを出て駐車場の彼の車の前で待つ。

5時ぴったりに終われるわけではないので、30分ほど待つこともあったけれど、このあと二人で過ごせることを想像したら幸せな時間だった。

「るいちゃんごめん、待たせたかな」

今日は待ちはじめて10分ほど経ったあとに、彼は姿を現した。
白の半袖シャツにジーパン、そして茶色のスニーカー。
その格好が彼の定番の服装だった。

「じゃあ行こうか。今日は何を食べたい？」

車に乗り込んで、私たちはカフェの駐車場を出る。
車に二人きりでいるのは未だに緊張して、身体がガチガチになる。

彼は運転をしているときだけ眼鏡をかける。
そんな彼の横顔が好きだった。
助手席から見る彼の姿は魅力的で、同年代の男子とは違う大人の魅力を醸し出している。

女性が好きな男性の行動の上位に"運転している姿"とあるのを、何かの雑誌で見たことがある。
それは本当だなと、嫌というほど思い知らされた。