今日も来ない、きみを待ってる。

このときから私は、麻倉さんの働くカフェ"エクセレントコーヒー"の常連になった。

彼の笑顔を見るたび、胸がときめく。
私は彼とお客さんとのやりとりを、カウンター近くの席で見つめる。

綺麗な女性が来ると、その度に胸がざわめく。

彼も綺麗だと思ってるのかなとか、タイプだったらどうしようとか。
彼が女性に笑いかけるたび、その笑顔は私だけに向けてほしい、独り占めしたいと思ってしまう。

私ってこんなに独占欲強かったかな。
カフェラテを飲みながら考えていた。

彼を好きになって、自分でさえ知らないような一面にふと気づくことがある。
これが恋をするということなんだろうか。

カウンターに並ぶお客さんが途切れて、彼と目があった。
私の胸がとくんと高鳴る。

彼はふっと笑顔で笑った。
それはさっきお客さんに見せた笑顔とは違っていて、私はたまらなく嬉しくなる。
そして彼の唇がゆっくりと動く。

"5時に駐車場"

いまは定番になった"合図"だった。
こくんと私は頷いた。