今日も来ない、きみを待ってる。

「うわあ…!」

彼が連れてきてくれたのは、ファミレスから車で20分ほど離れた小さな山の上だった。

夏も終わり秋に移り変わり始めたため、山の上は少し肌寒く腕をさする。
日も落ちて薄暗くなり、ビルの明かりがきらきらと輝き美しい景色を演出している。

「そんなに高い山じゃないけれど、綺麗でしょ。ここは俺が好きな夜景の1つなんだ」

「綺麗…ですね」

「やっぱり女の子は夜景とか好きだよね」

彼のその言葉に、私の胸は針でちくりと刺されたように痛みを感じる。

前は誰と、この景色を見たのだろう。
前の彼女かな。

知りたいけれど、聞きたくない。
胸がきゅーっと締め付けられたように苦しくなる。

「るいちゃんは本当にピュアだね」

彼は煙草を1本取りだし、ライターで火をつける。
煙をふうっと吐き出すと、切ない笑顔を浮かべて景色に目をうつす。
なんでそんな、悲しい顔をするんだろう。