今日も来ない、きみを待ってる。

私たちはカフェから車で10分ほどの場所にあるファミレスに来ていた。

「ファミレスじゃなくて、もっと美味しい店連れていくのに」

彼は毎回そう言うけど、私は一緒に居られたらそれで十分だった。
1度高そうな店に連れていってもらったこともあるけれど、あまりにも場違いで申し訳ない気持ちになったので、むしろファミレスくらいがちょうど良い。

「いえ、良いんです」

私は料理を待ちながら、煙草をふかす彼の姿を見ていた。
会うようになってから知ったこととして、彼は煙草を吸うということだった。
私のまわりには煙草を吸う人がおらず、煙草のにおいが服に染み付くのは気になっていた。

気になる反面、私は煙草を吸う彼の仕草が好きだった。
運転している姿以上に、大人の魅力を感じる瞬間だと思う。

「何じっと見てるの」

彼が意地悪な口調で私に問いかける。

「べ、別に見てるわけじゃ…」

恥ずかしくて、私は窓のほうに目を逸らす。

「ふーん…」

わかっているくせに、そんなふうに意地悪を言う。
私が考えていることの何もかもを、見透かされているようだと感じる。
何を言い返したってきっと、私は彼に勝てないんだ。
それが少し悔しい。