笹に願いを

岡部編集長は、近くにあった丸椅子にチョコンと腰かけると、「手術、無事終わってよかったね」と言ってくれた。

「よくがんばったね、笹川ちゃん」
「いえ。手術してくれたのは先生だから。でも、はい。がんばりました」と言う私に、岡部編集長は笑顔でウンウンと頷いた。

「そうだ・・はい、これ」と岡部編集長が言って、私に渡してくれたのは、1枚の封筒だった。
中にはカードが入っていて、開けるとたくさんのメッセージが書かれていた。

「これも編集部のみんなからよ」
「あ・・・うれしい。色々すいません。迷惑もかけて・・」
「そんな風に言わないの。迷惑だなんて全然思ってないから。それよりどう?体の調子は。痛いんじゃない?」
「いえ、それほど痛くないです。でもおなかに力入れちゃうと痛い、かな」と私が言ったとき、花瓶に花束を活け終えた天野くんが、病室に戻ってきた。