笹に願いを

「なんかいるもんあるか。俺、おまえに何も聞かずにこっちに来たからな」
「ううん、今のところ大丈夫。この日のためにパジャマだって新調したし」
「似合ってるよ、ぺパミン」
「ぺパミンだってー。ペパーミントグリーンって言ってよ。アハハッ」
「言いづらいし長いだろ。じゃあ後でいいからおまえんちの鍵、貸しといて」

「ぺパミン」にウケていた私は、天野くんのいきなり「鍵貸して」発言に、ピタッと笑うのを止めた。

「な・・・なんで」
「合鍵作って俺持っとくから」
「だから、なんでよ」
「おまえが留守してる間、おまえんちにちょくちょく行くからだ。郵便物だって来るだろ?掃除だって2・3日おきくらいにしといた方がいいし、洗濯も」
「いやっ。そこまで天野くんに頼めない・・」
「じゃあ誰がするんだよ」
「それは・・・編集長に頼んでる」
「あ、そ。じゃあ俺がするって編集長に言っとく」
「だ、だめっ!」
「織江ちゃーん。俺らはパートナーだろ?遠慮すんな。今更恥ずかしがる必要もない」
「う・・・で、でも天野くん。家、遠いでしょ?だから・・」
「ノープロブレム。俺、もう決めたから」
「あ・・・」