私たちは、これまでにも何度か足を運んだことがある居酒屋へ行った。
お互い車だからアルコールは一切頼まず、私はずっとウーロン茶を、天野くんはウーロン茶の後、カルピスを飲んでいた。
焼き鳥やおでんに田楽といった小さな一品一品を食べながら、私たちはいろんな話をした。
ほとんどが仕事のことだったことは間違いない。
でも暮らしに役立つ情報誌の編集という仕事柄、普通に話す内容が仕事につながっていることが自然と多くなる。
そのうち「結婚」の話題となり、そこで私は彼に離婚歴があることを初めて知った。

「なんで別れたのか聞いてもいい?」と天野くんに聞くと、彼は、カルピスが入ったグラスを小さく揺らしながらう~んと唸った後、「若気の至りだな、うん」と言った。