「私が入院することは、この後の朝礼で編集長がみんなに伝えてくれる。でも・・治療が始まるまで病名は言わないでおくって決めたの。だからそれまでみんなには言わないでくれるかな」
「ああもちろん。分かった」
「・・・ごめんね、天野くん。重荷背負わせちゃって。でも天野くんとはずっと一緒に仕事してきたし、少しの間留守にするから。だからちゃんと・・・隠さずに全て話すことが、パートナーとしての礼儀だと思って」

私の両肩に、彼の大きな両手が、添えるように軽く乗せられた。
ハッとした私は、俯けていた顔を上げて、彼を・・・真剣な面持ちをしている彼を見た。

「いいよ。俺、重荷背負うとか思ってないし。ホント、こんな感じだから」と天野くんは言うと、私の両肩に乗せている両手をトンと叩いた。

それは重く背負うという感じでははなく、そっと寄り添うような、秘密を共有するような、そういう軽やかな感じだと、彼は言いたかったのだろう。
私にはそういう風に伝わった。