普段母親のように慕っている岡部編集長には、28歳のお嬢さんがいる。
そして「実際、笹川ちゃんとは母親くらい年が離れているけど、気持ち的にはちょっと年上のお姉さんだと思ってるわ」と、いつも言ってくれている。
その編集長が自ら「私は笹川の上司であり、この子の母親みたいなものですから」と医者に言うのを聞いたとき、心に若々しさを保っている編集長も、少なからず動揺してるんだなと思った。
私にはそういう面をおくびにも出さずに、自分のことのように受け止めてくれている心強い編集長の、弱い部分が垣間見えたことで、返って私はホッとした。
弱い面や動揺している部分を私には見せてはいけないと気を使われるのは、正直嫌だから。

岡部編集長は、私とお医者さんの同意の下、親兄弟がいない私の母親代わりになって、一緒に病状を聞いてくれた。