強く、強く。

目の前にいる、愛する人をただ強く。

「そっ、ら…」

ようやく知る現実と、現実とは合わない笑顔。

「そら…僕は、空が、好きだよ…」

「立野君…」

空のお母さんは、いつの間にか戻ってきていた。

空に寄る僕の後ろで静かに言うんだ。

「立野君、北川君。本当に、空といてくれてありがとう。空の…」

でも、やっぱり辛くて涙を流した。

「たち、の、君。あなたに持っていて、欲しいの。」