「オイオイ……記憶喪失か??」 「……気にしたことがなかった」 「割と、重要な事だろ、家だぞ、家」 信じられないと言わんばかりに見開かれるブラウンの瞳を見つめ返すと、カイは「しかたない」と立ち上がった。 「とりあえず、飯でも食いに行くぞ。腹減ったろ」 先に立ち上がったカイが私に手を差し出す。 それに手を重ねると、驚くくらい強い力で引き上げられた。 「あっ……」 「っと……大丈夫か?ってか、軽すぎだろ」 大勢を崩した私を抱きとめるカイは、驚いているのか、わずかに目を見開いていた。