***


たくさんの寄り道をしたせいか、レストランにたどり着いた頃には、12時を回っていた。


「ほら、腹減ったろ、選べ」

「選ぶ?」


乱暴に投げられた細長い板紙を受け取る。

見開きになっていて、開くとそこには、メニューと書かれていた。

野菜たっぷりサンドイッチ、チーズハンバーグ、卵ふわふわオムレツ………。


「………」


どうしよう、どれもこれも、どんな食べ物か分からない。


第一、私は人形なんだし、空腹とか、人間らしい欲求を必要としない存在な…はず。


断言出来ないのは、私自身がどんな存在なのかが分からないからかもしれない。