《短編》時計仕掛けのカトレイヤ



「腰周りも細いし、やっぱり飯を食わせる方が先だな」

「ん?」


うんうんと何度も頷いているカイを見つめながら、不思議な気持ちでいっぱいになっていた。


カイは、私に優しくしてくれる。
初めましての私に、どうひてここまでしてくれるんだろう。


ますます、人は不思議な生き物だと思った。


そんな疑問を抱えていることも知らず、私はカイに手を引かれて、時計台の外へ出た。


「カトレイヤ、何が食いたい」


私の手を引いて歩いていたカイが私を振り返る。

「……………」


だけど、私はそれどころじゃなかった。


あれは、何だろう。


さっきは町並みが小さく見えたのに、今は小人になったみたいに大きなレンガ状の建物に囲まれている。