(仮題)魔女のいるファンタジー

「ミン皇国って──お隣のミン皇国?」
「他にミン皇国があったか?」
「ねえな」

 僕の質問に即答してから、アノンは頭の天辺から爪先まで僕を眺め回した。

「お前、熱でもあんのか?」

 もっともな反応だった。

 三年間引きこもりを続けた奴がいきなり外国に行くなんて言い出したら、僕でも正気かと疑う。

「何だ? ミンに何しに行くんだ?」

「ええっと、ネットの友達が──っと、ちょっと待って」

 新着メールの信号だ。

「ネットの友達? ネットで知り合った奴がミンにいるのか?」

「うん。まあ、そんなとこ」

 僕は再び目を閉じて、パソコン画面に戻る。
 魔鏡さんからのメールだった。