(仮題)魔女のいるファンタジー

「その姿」と、口を開いたのは魔鏡さんだった。

「それはもう、手遅れ──ってことかイ?」

 僕は魔鏡さんを振り返った。
 彼女は食い入るように、「白雪姫」と名乗ったその少女を見つめていた。

「既に魔女に、毒林檎を食べさせられたってコトかナ?」

 魔鏡さんは、昼間メールで僕に伝えてきたのと同じことを言った。
 どういう意味だ。

 僕は白雪さんに視線を戻した。

「手遅れ──そう、ですね」
 白雪さんは、消えてしまいそうな声でそう言った。

「私はもう、毒林檎を食べました」

 だから、何の話だろう。

「まだ、半分──ですけど、でも」

 僕にはわからない。

「手遅れ、なんでしょうね。こんな姿になってしまったというのに、私は──」

 少女は自分の体を見下ろして言った。
 途方に暮れたように、何かを諦めたように、全てを放棄したように。

「毒の林檎は美味しくて、美味しくて、我慢できない。この味を知ってしまったから、私はもう、残り半分の毒林檎が美味しそうで、美味しそうで、我慢できそうにない──」