(仮題)魔女のいるファンタジー

 僕は少し安心した。

 魔鏡さんに確認すると、やはり彼女にも同じ内容のメールが届いていたらしい。

 もうすぐの場所か。

 僕は再び心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。

 間もなくここに白雪姫が現れる。
 白雪姫は、どんな人物だろう。

 魔鏡さんではないが、これで万一男だったら驚きだ。

 そして、白雪姫の身に何があったのだろう。
 あのメールは随分切迫した感じだった。例えば重い病を抱えているとか、これまで会話を繰り返してきたが、そんな話は何もなかった。

 僕が携帯電話をしまっても、魔鏡さんはニヤニヤしながら未だ携帯の画面を見つめていた。

「なんていうかさァ、これこそホラーちっくなメールだよね」

 何を言い出すのかと思っている僕の前で、ニイっと、水色のルージュが引かれた唇が吊り上がる。

「初めは、『もうすぐの場所です』で、続けて、『今、階段の下にいます』とかってメッセージが送られてきてさァ、次に、『扉の前まで来ました』──で、いくら待っても次のメッセージも本人も来ないワケ」

 凄みのある表情を作って、嬉々として語る魔鏡さん。

 うっ──この人、こういう話させると巧い──というか、怖い。
 気のせいか背筋がゾクゾクしてきた。