(仮題)魔女のいるファンタジー

「こっち」でのこととは言え、彼らに会うのは初めてだ。
 いつもメールやチャットでやり取りしていただけで、彼らは視界に表示される文字の存在だった。

 それで充分だったし、それだからこそ僕にとっては大切な存在に成り得たのかもしれない。
 あんなメールがなければきっと永遠に、会って話そうなんて気にはならなかったことだろう。

 これまで一年余り、知り合ってから決して越えることのなかった一線をこれから越えようというのか。

 文面を読むのと会って話すのとでは、印象も全く違うに決まっている。

 今さらだったが、迷う気持ちが起きた。

 しかし迷っているほどの時間もなく、階段は終わる。

 しんと静まり返った屋上を、僕は恐る恐る見回した。