(仮題)魔女のいるファンタジー

 この二人とはネットを通じて知り合った。
 かれこれもう一年以上のつき合いだが、顔も本名も知らない謎のお友達だ。

 僕にはそんな謎のお友達が他にも何人かいる。
 けれど二人の存在は、彼らの中でもまた別格だった。

 おっとりしていて、いつでも優しい「白雪姫」。

 毎度のことながらあんな調子で、ふざけているのか、飄々としたつかみ所のない「鏡よ鏡カガミさん」。

 チャットやメールのやり取りを繰り返すうち、僕たち三人は不思議と気が合ってつるむことが多くなった。

 今では顔や本名を知っている連中より、遙かに大切な友人たち。
 遙かに真実の友人たち。

 ネットの世界は嘘偽りだらけだというけれど、それは現実だって同じではなかろうか。

 彼らこそが僕の真実であり、彼らこそ僕の現実だ。

 その「大切なお友達」が助けを求めている。
 これは何をおいても優先すべき最重要事項である。

 そんなわけで夜の九時少し前、僕は環同高に向かって、街灯の明かりの下を歩いていた。