ロストマーブルズ

「ほら、葉書が届いてたんだ」

 ツクモに差出してそれを見せてやると、匂いをしきりに嗅いで、尻尾が一層激しく左右に揺れた。

 ツクモはジョーイをまっすぐ見つめている。

「誰からか、わかったんだな」

 ツクモは「ワン」と吼えた。

 フクロウの葉書を下駄箱の上にそっと立てて置く。

「よーし、散歩に行こうか、ツクモ」

 鞄を放り投げ、玄関先にあったリードを手にして、ジョーイとツクモは外に飛び出す。

 世界が繋がっている大空がそこにあった。

 雲の隙間から飛行機が現われ、その空を進んでいく。

 無限に広がる自由な空。それと同じくらいの可能性が自分にもあるように思えた。

 だが、待ってるだけでは何も手に入れられない。

 自ら進まなければ──

 ジョーイは固く決心する。

「俺が会いに行ってやる」

 高い空の上を一直線に飛んでいく飛行機を目で追いながら、ジョーイはその先の未来に思いを飛ばしていた。

 今度はジョーイがビー玉を転がした。

 彼女の足元に辿り着くことを信じて──



<The End>



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