ロストマーブルズ

 それから一ヶ月が過ぎた。

 つややかな黄緑の葉の新緑が茂る、初夏を思わせる季節になっていた。

 ジョーイが学校から戻ると、郵便受けに絵葉書が入っていた。

 アメリカからのエアメール。

 差出人は不明。
 
 メッセージも何も書かれてない。

 アナホリフクロウの写真があるだけだった。

 愛嬌のある、フクロウの真ん丸い目とジョーイの目が合った。

 笑ってしまうくらい、それは滑稽で、とても愛らしかった。

「一言メッセージくらい書いてくれればいいのに」

 何度も裏表を確かめながら、ジョーイは玄関のドアを開けた。

「ただいま」

 ジョーイの気配を感じて、すでにツクモが玄関の上がり口に座って待っていた。

 尻尾を振って嬉しそうに出迎えているツクモの頭を、ジョーイは優しく撫ぜてやった。