その晩、ジョーイは自分の部屋にツクモを入れて、一緒に寝ることにした。

 机の上にキノの眼鏡、手紙、そしてコインを並べふーっと息をつく。

「あー疲れた」

 この一週間の目まぐるしい変化を振り返り、ベッドに腰を下ろす。

 次の日は母親のサクラが出張していたアメリカから帰国する。

 サクラが帰ってくるまでに一段落したことで少し胸をなでおろしていた。

 このまま何事もなかったように済ませたいが、ツクモも居るし、シアーズもサクラと話をすると思うとそうも行かない。

 そしてサクラもまた過去を思い出し、辛い思いをするかもしれない。

 自分ですら、父親が何をしていたか知らされてかなりのショックを受けてしまった。

 元妻だったサクラがその話を知らない訳がない。

 当時サクラも同じように思ったことだろう。

 そうなると、折角薄れていた心の傷をまた深くえぐる事になるかもしれない。

 ジョーイの瞳は悲しくまどろんでいた。

 ツクモは慰めるようにジョーイの側により、鼻を何度も「クーン」と鳴らす。