「言っただろ、キノが言うことを聞かなければ俺も手を打つと。そして悲しい思いをするとも警告したはずだ」

「ノア、どうして私は素直にジョーイが好きだっていっちゃいけないの?」

「分かってるだろ、俺達の立場を。俺達は表にでちゃいけない人間だ」

「じゃあ、だったらなぜ私と同じ日に同じ場所で生まれたミラは派手に映画なんか出てるのよ。私は影で、ミラは普通どころかハリウッドで活躍してるじゃない」

「これも研究のための一環だ。一方は普通に育てられ、もう一方は特殊教育をされる。表に出てもいいと選ばれたのはミラだったということだ。それにミラは姉妹がいるとも知らないし、自分がどうやって生まれたかも何も知らされてない。女優になっているのは偶然だが、彼女は極一般の人間扱い。だが俺達は違う。そしてキノは研究の成果が見事に現れた特別な存在だ。キノも自分の運命を受け入れて今まで生きてきたじゃないか。俺達は国家機密レベルの人間だ。要するに俺達の方が選ばれたエリートだ」

「でもあいつは私達のことをモルモットと呼んだわ。正体もばれている」

「それは大丈夫だ。ああいうのは必ずしも発生するというもんだ。超常現象や不思議な出来事だけに焦点を当てたX-ファイルズというのが存在する。そして真相はなかなか表ざたにならない。さらに都合の悪い真実は潰されるのも時間の問題だ。これに関しては心配はしてないが、ジョーイのことに関しては取り返しがつかないかもしれない。ジョーイもそのうち何もかも気がつくことだろう。その前にキノ、アメリカに帰る準備をしろ。シアーズ先生も滞在期間を延ばしたとはいえ、事態が変わってしまってその方がいいと言っていた。もうここには居られない」