ノアの言葉など関係なかった。

 ジョーイはメイン道路へと続く連絡橋の階段を駆け下り、犬と一緒に前を歩いているキノを目指す。

 キノは大通りから右に曲がり、人が集まる広場へと向かっていた。

 その先にキノの住むマンションがあった。

 ジョーイも同じようにその後をつけて右に曲がったときだった。

 ツクモが前屈みになり歯をむき出しにして威嚇体制を取って唸っていた。

 キノはその場に突っ立って、目の前の人物を恐ろしげに見ている。

「あれは、ギー」

 ジョーイが立ち止まって驚いていると、後ろからノアが現れ、キノの側に駆けつける。

 そしてツクモに命令をして何事もなく去っていこうとする。

「(盲導犬って凶暴だったんだな)」

 意味ありげにギーが呟いてもノアは完全に無視をしていた。

「(おい、待てよ。お前達の存在は俺は疾うに気がついているんだ。ジョーイに接触するのも何か意図があってじゃないのか。モルモットさん達よ)」

(ギーは何を言ってるんだ? それにモルモットってどういうことだ?)

 ジョーイはギーの言葉の意味がわからない。

 ノアはギーが何を言おうと無視し、キノを守るように歩いていた。

 ジョーイはキノを追いかけたくとも、ギーがそれを邪魔し前に立ちはだかった。

「(よっ、ジョーイ)」