「皆、頑張ってるわね。あら、新しい人が増えてる。えーとあなたはトニーのお友達のジョーイね。こっちの女の子は……」

「リルです。私が連れて来ました」

 キノが答えた。

 眞子はそっけなく「あら、そう」とだけ言い、リルに向かっては愛想笑い程度の笑顔を添えた。

 リルはじっと眞子の顔を見ていた。

 眞子は補助としてそれぞれのグループの様子を見回るだけで、後は生徒任せだった。

 トニーにはちょっかいを出して、少し贔屓目な感じがするとジョーイは思ったが、周りの生徒はいつものことのようにあまり気にしていない様子だった。

 ジョーイに来てくれたことを感謝しつつ、当たり障りもなかったが、どうもキノには何かが違うような雰囲気がしていた。

 存在を無視しているというのか、話を全くしない。

 ただの偶然なのかもしれないが、ジョーイは眞子の接し方には温度差があると感じていた。

 しかし、何よりキノとリルが一緒に行動をしている事が信じられない。
 
 キノは一体何を考えているのかジョーイには不可解だった。