このまま一緒にキノと居れば、自分自身が変わっていくようにまで思えてくる。
堅物のどす黒いカチコチに固まった心がほぐされて、柔らかく、白くなっていく感じだった。
キノと肩を並べて歩きながら、ジョーイは時々キノの横顔を見つめていた。
キノも視線を感じ、時々ジョーイを見つめると自然に笑顔を見せている。
なんだかいい雰囲気だと、ジョーイは意識し始めてきた。
これも自分らしからぬ感情だった。
「ジョーイ、それじゃ私はここで失礼するね」
キノの言葉は無情にも、ここでやっと繋がりかけてきた二人の関係を切り離したように聞こえた。
用事があると言っていたことを思い出し、さっきの聡ではないが、ジョーイもまた名残惜しく思ってしまう。
「キノ、弁当ありがとうな。旨かった。そしたらまた学校でな」
「うん」
キノはツクモのリードを引っ張り、駅とは反対方向の方角へ向かおうとした。
まだもっと何かを話したかったジョーイは、もどかしさを堪えてキノを見送る。
キノも同じような気持ちだったのか、もう一度振り返った。
「ジョーイ、今日はとっても楽しかった。本当にありがとう」
「ああ」
夕方の優しい光にあてられたキノの姿を見つめ、ジョーイは軽く手を挙げた。
ツクモも振り返り、尻尾を振って挨拶をしているようだった。
その場でずっと突っ立っているわけにも行かず、潔くジョーイも踵を返した。
ジョーイが去っていく後姿を、少し歩いた先からキノは振り返ってじっと見ていた。
「ツクモ、今日くらい許されるよね」
独り言のようにキノは呟く。
ツクモはあたかも慰めるように「クーン」と鼻を鳴らしていた。
堅物のどす黒いカチコチに固まった心がほぐされて、柔らかく、白くなっていく感じだった。
キノと肩を並べて歩きながら、ジョーイは時々キノの横顔を見つめていた。
キノも視線を感じ、時々ジョーイを見つめると自然に笑顔を見せている。
なんだかいい雰囲気だと、ジョーイは意識し始めてきた。
これも自分らしからぬ感情だった。
「ジョーイ、それじゃ私はここで失礼するね」
キノの言葉は無情にも、ここでやっと繋がりかけてきた二人の関係を切り離したように聞こえた。
用事があると言っていたことを思い出し、さっきの聡ではないが、ジョーイもまた名残惜しく思ってしまう。
「キノ、弁当ありがとうな。旨かった。そしたらまた学校でな」
「うん」
キノはツクモのリードを引っ張り、駅とは反対方向の方角へ向かおうとした。
まだもっと何かを話したかったジョーイは、もどかしさを堪えてキノを見送る。
キノも同じような気持ちだったのか、もう一度振り返った。
「ジョーイ、今日はとっても楽しかった。本当にありがとう」
「ああ」
夕方の優しい光にあてられたキノの姿を見つめ、ジョーイは軽く手を挙げた。
ツクモも振り返り、尻尾を振って挨拶をしているようだった。
その場でずっと突っ立っているわけにも行かず、潔くジョーイも踵を返した。
ジョーイが去っていく後姿を、少し歩いた先からキノは振り返ってじっと見ていた。
「ツクモ、今日くらい許されるよね」
独り言のようにキノは呟く。
ツクモはあたかも慰めるように「クーン」と鼻を鳴らしていた。