キノと居るとちょっとしたことが不思議に結びついてしまう。
 こんなにも心揺れて、ジョーイも訳が分からなくなってきた。

 その脱力しているジョーイをキノは心配そうに見ている。

 ジョーイも困惑した瞳を向け、全てに敗北してしまった気持ちがやるせなく、もう一度訊いてみる。

「なんだか、今日のキノはハキハキとしているというのか、おどおどしていたときと全く別人のように思えるよ…… もしかして君は……」

 ジョーイが最後まで言い終わらないうちに、キノは突然くすっと笑い出した。

「だって、私、人見知りが激しくて、ジョーイってファンクラブがあるくらい人気者でしょ。最初は緊張しちゃった。でもジョーイも怖い人だと思ってたけど、全然そうじゃなかった」

「お、俺もか。そっか。そうだな。俺もなんだか今日は久し振りにはしゃいだ気分だった」

 自分もそうだと指摘されると、身も蓋もなかった。

 ジョーイは慣れぬ自分の感情をどう処理すればいいのか分からずに、調子狂ってしまう。

 キノの前で誤魔化した笑いを添えてもじもじしている。

 普段の自分じゃないのは百も承知だった。