「うん。あんなの掛けてたらなんかダサい。キノは運動神経も頭もいいし視力もいいはずなんだけど、もちろん顔だってかわいいのに、あれじゃ折角の魅力が台無し。もしかして原因はお前か? でも眼鏡なんか掛けてなんの意味があるんだろう」

 聡の言葉にさっきまで抱いていたほんわかムードが、一編に飛んでしまった。

 ジョーイはもっと聞きたいとばかりに、たかが小学生の聡にムキになって質問した。

「他にもキノについてなんか知ってることあるのか」

「他に? そういえばキノは一杯色んな言葉知ってるみたい。計算も数を数えるのも早い。集めていたカードを落としたことがあって、それらを拾っていたら、全部で55枚あるねって言ってびっくりした。ほんとにそうだったから」

「なんだって!?」

「キノって本当にすごいんだ。女なのにバッティングセンターで時速150kmの球を簡単に打つんだよ。あまりにも軽々と打つから、それで俺が声を掛けて教えてもらったのがきっかけで仲良くなったんだ。でもキノと一緒にいると驚くことが一杯あった」

 聡が話している側でツクモが鼻をクーンとならし、体を摺り寄せて頭を撫ぜることを催促しだした。

「なんだよツクモ甘えだして」

 聡がツクモに構っている間に、ジョーイは言葉を失って立ち竦む。

 そこにキノがこっちへ戻ってくる姿が目に入った。