夕方目が覚めると、辺りはすっかり暗かった。

「あっ、夕飯の支度」

 主婦かというくらいすっかり炊事の癖が身について、台所に下りていく。
 時計を見れば6時過ぎだった。

「トニーのやつまだ帰ってこないんだな」

 朝、トニーと仲違いし、このときになって少し反省の念が出てくる。

 トニーはここでは居候の身。
 それが全く自由じゃないということなのだろうか。

 トニーが言った言葉の意味を考えれば、世話になってる身分はどうしてもその家の者に従わねばならないということなのだろう。

 さらに人とどこか違う気難しい自分という存在を目の前にして、気を遣う事に、いい加減我慢の限界だったのかもしれない。

 比較的心身が安定してたせいもあったが、心に余裕ができると、突然罪悪感が襲ってきてしまった。

 はっきりと喧嘩した訳ではないが中途半端なすれ違いが気掛かりとなり、ジョーイは料理中、何度も時計を見てはトニーの帰りを待っていた。

 テーブルに夕飯を並べるとジョーイは自信たっぷりに頷いた。

 揚げたてのから揚げが湯気を出している。

 これならトニーも気に入って笑顔になるかもしれない。

 その時ジョーイはさりげなく謝ろうと思った。