「そういうキノの夢はなんだ?」

「私の夢は人の役に立ちたい。自分ができるのなら惜しまずにその力を役に立てたい」

「へぇ、偉いな」

「ううん、それは私に課せられたことだからって、そんな風に思いたいの。こんな風に生まれてきたのも意味があるんだって思いたいの」

「俺も自分の容姿にはそれなりのコンプレックスはもってるけど、キノも相当根深そうだな。だけどそんなに気にするな。自分もそうだから人に偉そうに言えたことじゃないけどな」

 二人はまた暫く、静かに移り変わる窓の外の景色を見ていた。

 駅について降りた時、これでまたキノとお別れかとジョーイは残念に思った。

 もう少し話をしてみたい。
 もう少しキノと親しくなりたい。

 キノはアスカではないと結論が固まるまでに、自分の心の中にいるアスカを、キノを通じてもう少し見てみたい。
 どうしてもそこに拘っていた。