瞬時にイライラが募る。 「お前……傘、持ってねぇの?」 「……あるけど」 「何でささねぇの?」 「あなたに……それを聞く権利はあるの?」 はーん。 なるほど、そうくるか。 泣きたくても 泣けないくせに…… 強がってんじぇねーよ。 「……ないな」 ねぇよ、確かに。 でもな…… 彼女の瞳が 俺から視線を逸らす。 「だけど腹立つんだよ。お前のその顔」