お兄ちゃん、だめ... そんなとこ…かじっちゃだめ…

「じゃあ、なぎは下に戻るねっ。ちゃんと寝ときなよぉ?」

そう言って渚が立ち上がる。

気づけば私はその背中に声をかけていた。

「渚…」

「ん、なぁに?」

「私のお兄ちゃんのこと…すき?」

「うん。だいすきっ」

キラキラした笑顔で振り返った渚を見て、何も言えなくなった。

それにお兄ちゃんがおかしいという確証はまだなかったし、そうでないと信じていたかった私は口を噤んで、そっかと頷いた。

この時
渚にお兄ちゃんのことをちゃんと話しておくべきだったと知るのはもう少し後の出来事…。