お兄ちゃん、だめ... そんなとこ…かじっちゃだめ…

「ぇ、なんですかぁ。それー?」

「ふふ。ザクロの実はねー」

ザクッ。

お兄ちゃんがザクロにフォークを突き刺しながら話し始める。

ザクロから小さな実がぶわりと零れ落ちた。


「人間の味に似てるらしいよ?」

にこりと、私を見ながらお兄ちゃんは微笑んだ。
口元に運んでいたフォークが思わず止まった。

「…た、ただの噂ですよね?」

「さぁ?」

ーーゾクリ。
お兄ちゃんはまだ私を見ている。
また、あの視線で見つめられ背筋が凍った。

「まぁ、ただの噂なんだけどね」

「ですよねぇ」


心臓が嫌な音を立てて、私を急かす。



お兄ちゃんが怖い…。