お兄ちゃん、だめ... そんなとこ…かじっちゃだめ…

「、や。お兄ちゃん…?」

触れられる距離まで近づいたお兄ちゃんが切った方の私の手を掴んで口元に引き寄せた。

そして、

「ぃっ?!」

傷口を、血を、ぺろりと舐めた。


「や、やめーーー」


一心不乱に血を舐めるお兄ちゃん。


怖くて、怖くて涙が目に滲む。

「未央、未央、未央」


呼ばないで。

お兄ちゃんの声で私を呼ばないで。


だってこんなの


お兄ちゃんなんかじゃない。



ちゅ…。


軽いリップ音とともに離れた唇は赤色に染まっていて


熟れたザクロの色と同じだった。