お兄ちゃん、だめ... そんなとこ…かじっちゃだめ…

「おじゃましまぁす」

「ただいまー」

「ただいま…」

玄関へ入って気づいた。そう言えば今日からお母さんとお父さんは旅行に行ってるんだった。

…お兄ちゃんと二人っきりかぁ。


「渚、お兄ちゃん。ソファー座ってて。今お茶入れるから」

「あー。悪いな」

「未央、ありがとーっ」

二人の返事にかるく頷いて、台所でミルクティーを入れる。

あーなにかお菓子とかあったかなぁ。

冷蔵庫をガサガサしてみると、赤い果物らしきものを見つけた。

これ、ザクロ…?

ザクロってあんまり食べたことないんだけど、お菓子とかないし切ろうかな。


軽く水で洗って包丁で食べやすい大きさに切っていく。

赤く熟れてて美味しs

「未央」

「ひゃ、痛っ」

突然聞こえたお兄ちゃんの声にびっくりして、指を包丁で少し切ってしまった。


ポタリと赤い赤い血が白いまな板を色づけた。