普段の二ノ宮くんは、いつも仲間と騒いでにこにこと笑う明るい青年。
誰からも好かれて、気配りができて。
たくさんの友人に囲まれているような人気者だった。
そんな彼とは正反対の哀しい絵がどうやって生まれるのか。
私は興味を持つようになった。
いつだったか、二ノ宮くんがキャンバスに向かっているところを眺めていたことがある。
眉間にしわを寄せて、食い入るように画布を見つめ、迷いなく筆を走らせている。
そのさまはまるで、一心不乱に祈りをささげる礼拝者のようで、声をかけるのをためらってしまった。
すると視線を感じたのか、不意に彼がこちらを向いて、静かに笑った。
あまりこころの中を覗かないでくださいね、とでもいうように。
衝撃が走った。
普段の彼が見せたこともないその表情に、本当の彼を知った。
彼は『ひとり』なのだ。
大勢の友人に囲まれていても、その誰にも自分の中には踏み込ませない。
明るい笑顔は防波堤。
自ら積極的に相手と接することで、周囲との距離をコントロールしている。
外から見える彼のこころは、石膏で塗りかためたトルソーのようだった。
誰からも好かれて、気配りができて。
たくさんの友人に囲まれているような人気者だった。
そんな彼とは正反対の哀しい絵がどうやって生まれるのか。
私は興味を持つようになった。
いつだったか、二ノ宮くんがキャンバスに向かっているところを眺めていたことがある。
眉間にしわを寄せて、食い入るように画布を見つめ、迷いなく筆を走らせている。
そのさまはまるで、一心不乱に祈りをささげる礼拝者のようで、声をかけるのをためらってしまった。
すると視線を感じたのか、不意に彼がこちらを向いて、静かに笑った。
あまりこころの中を覗かないでくださいね、とでもいうように。
衝撃が走った。
普段の彼が見せたこともないその表情に、本当の彼を知った。
彼は『ひとり』なのだ。
大勢の友人に囲まれていても、その誰にも自分の中には踏み込ませない。
明るい笑顔は防波堤。
自ら積極的に相手と接することで、周囲との距離をコントロールしている。
外から見える彼のこころは、石膏で塗りかためたトルソーのようだった。

