普段と違う長い休日。


少しくらいの楽しみがあったっていいんじゃないの?


行くのが男子校でも、目的が除霊でも、住田唯人はカッコイイし、あたしの事を好きだと言ってくれている。


少しくらい甘えたっていいんじゃないの?


「……なに、考えてんの」


あたしは視線をキャリーケースへと戻した。


中には地味な服が沢山詰め込まれている。


それをジッと見ていると、あたしの右手が床に落ちたワンピースに伸びるのが見えた。


まるで右手だけ別の人に動かされているような感覚だ。


今日のあたしはどこかおかしい。


右手がワンピースをキャリーケースに入れるのを見て、あたしは左右に首を振ったのだった。