「そんなものは、もうしている。もちろん、言葉を変えてな・・・でも、それでも見つからなかったんだ。まぁ俺が探して見つからないものを、警察が見つけられるとは思っていないけどな・・・。」


 その言葉は、あまりに傲慢な気がしたが、どこか芯を付いている言葉のような気がした。


 コレばかりは、おかしな話なのだが、悠人にはそんな力があるような気がするのだ。


 彼が見つけられなかったものを、警察が見つけられるとは思えない。


 桜沢悠人は、そういう存在なのである。


「そんなの・・・。」


 だったら、琴美先輩は永遠に・・・・・。


「そんなしけた顔するなよ。言っただろう?魔法は科学に負けたんだぜ。今の警察は俺が使う『規制だらけの魔法』より、よっぽど優秀だ。」


 それは、気休めの言葉。


 だけど、それでも由紀はその言葉を信じたかった・・・。


 でもそう思ってしまうのは、俺はまだ先輩のことをあきらめてない証拠であり・・・。


「それじゃあ、ここでいいわ。」


 そこまで思考をめぐらせたところで、交差点にのしかかり、悠人は由紀や夢とは逆方向に足を向ける。


「おい、大丈夫か?」


 口にしたのは、夢のほう。


「夢さんがそれを言うか?」


 どちらかといえば、危ないのはお前のほうだ・・・と言いたいのだろう。