あれは、中学三年生頃の話だろうか。
「颯っ!!蓮っ!!やっと見つけた」
「「奏!」」
「どうだった?成績」
明日から夏休みで、今日は終業式。
通知表が配られる日でもある。
HRを終えて、日直の私は仕事を済ませる。
すぐに、颯と蓮を探した。
このふたりは幼馴染み。
なんか、親同士が小学生の時からの仲だとか。
一条颯と、橘蓮斗。
蓮斗のことを、私と颯は「蓮」と呼んでる。
「俺、なんか微妙だったんだけど...」
はぁ、とため息をもらす颯
「ね、見せてよ!
蓮も!」
「あ、うん!」
「えぇ、俺見せたくねぇ」
「昨日、約束したでしょ!
ほらほら!」
「「「せーの!!」」」
三人いっぺんに通知表を出す。
成績は5.4.3.2.1の五段階で評価される。
「5が一番多いのは奏だね、すごい!こんなにあるー」
蓮が興味深々に見てくる
五教科は、社会以外、全部5の私!
「へへ!でしょ!今年は頑張ったからね」
にっこり笑う私
「てか、2あるの俺だけじゃん」
5が2番目におおいのは颯だけど、颯は2がある。
「べつに、五教科にあるわけじゃないんだし大丈夫じゃん。」
颯が一番苦手な家庭科。
不器用だし、裁縫も調理もできない颯。
まぁ、しかたないさ

