神魔〜復讐〜

「さぁな、昔のこと過ぎて忘れた...って」

また、こっちをみて歩み寄ってくる奏


「これ、どうした...?」

スッと俺の頬に手を添えて、その手を俺に見せる。


「あ、血か。
多分昼間、嵐狼が襲撃してきた時にできた傷。」


「そう...その時はいなくてすまなかったな。」



「いや、奏はもとから用事があったんだし。
それにこうして、対応できたわけでもあるから」



「まぁ、そうだな...逆に言えば、そのか擦り傷だけで済んだってことだな。
安心した。」


「あぁ。」



奏は、昔から自分より相手を優先する子だった。


でも、昔とははるかに変わった奏。


過去との共通点といえばその『相手を優先する』ってことだけかもしれない。


ガキのころは、よく笑う子だった。

いつも笑顔で泣き虫で。


一人じゃ何も出来ないような子だったのに、どこで変わったんだろう...


俺は、ずっと奏の笑顔を守り続けたいと思ってた。


だって......







奏は俺の好きな人だから。



初恋だった。

幼なじみってのもあって、接点も多かったし、性格が良い奏を好きになるのにそう時間はかからなかった。