「おはよう」
「おはよ」
「話、聞いてたんだ?」
「さっき、ちらっとね。
昨日も歌ってたの聞こえてきたけど、めっちゃよかったよ。」
「え…あーうん。」
「歌が好きなら好きでやってみたらいいのに。」
そうだった。
家が隣同市の私と憐。
ついつい歌にのめりこんじゃうと忘れてしまうこの事実。
自分の歌が憐の家まで聞こえるなんてやっぱり常々思うけど、恥ずかしいよな。
「うるさかったよね…ごめん。」
「別にうるさいなんて思ってないけどさ。
そうやって…俺を応援してくれたりしてるけど、お前って結局自分のことはいつも応援できないのな。」
「え…。」

