君の隣






「はぁ…そういうの嫌なんだけど。
それわかってるよね?」


「わかってる。」


「なのに言ってるの?」


「うん。
だって今のままでここに居ても時間の無駄になるもん。
そんなのあたしこそ嫌だから。
お願い、行って。」



私を見る憐の目が少し怖くて、ひるんでしまいそうになる。




憐がこういうことを嫌がるとわかっているけど、やっぱり気にしているから。




大切な時期にこういう仕事を任されて。




二人とも寝ていたとはいえども、少なくとも寝ていた私にも原因があるわけで。




「行って。」


「香那。」


「いいから早く。」


「…馬鹿。」




カバンを持ち、教室を出ていく憐の後ろ姿を眺めた。




頑張れ!




私は一番の憐のファンなんだから。




こうして背中を教えて応援することしかできないけど。




憐には自分のやりたいこと目指したいんものを目指してほしい、やってほしい。




そんな思い、一心なんだ…。