「お。
うまそ~もらうな。」
「あ!ちょっと!
それ私のおかずなんだけど!!」
「え?
1個ぐらいいいじゃん。
ケチケチすんなよー」
「あ~~!!
それあたしの!!」
さっきまでそこにいたはずの憐がいつの間にか自分の前に立っていて、憐は私のお弁当のおかずへと手を伸ばした。
そんな私の様子を千夏ちゃんは少し曇り顔を浮かべながら見ている。
ーもっと素直になったほうがいいよ。
いうのは簡単だ。
だけどね…。
今というこの時が幸せだからこそ、今の幸せを失うことが怖いんだ。
憐という一人の人を失いたくない。
幼馴染だから隣にいてくれる。
そう思っている私はやっぱり憐に自分の気持ちを言わないことにしようと心に決めた。